彼は何故、アラザの使者として、エジプトヘ行ったか。
まずポイントとして、他の使者より身なりがよいこと、
これは彼の身分につながります。
(単にスター衣装と言ってしまえば、身も蓋もないのですが)
彼は民の声を代表して、ファラオを討とうとしますが、
使者に立つと言うことは、他の二人も少なくとも貴族階級であると、
予想できるので、(この時代殆どが王国であったと考えられます。)
彼は王族につながる者ではないでしょうか…。
(普通の国民が、国を代表するとは考えにくいし。)
それでは、仮定作業をしていきたいと思います。
エジプト アラザの戦争は、エジプトの勝利に終わります。
負けると言うことは、隷属を意味します。
シャヌーンを、王族いえ、アラザの王の息子の一人だと、考えても良いと思います。
戦の時彼は何処にいたのか。
国外に出ていたと考えるのが妥当でしょう。
小国がその身を守るために、王族の子弟を、人質に出す事は、珍しい事ではありません。
支配権がエジプトに移った事と、彼がそれなりの年齢に達していたために、
国元に戻されたのだと思われます。
人質として他国で暮らしながら、守ろうとしていた自分の国に戻った
シャヌーンが見た物は、以前より過酷になった、国民の現状だったと思われます。
そして何より、王族だからこその屈辱。
たぶん国王は、戦の際命を落としている筈です。
国が倒れたと同時に、自らの家も倒れていたのです。
そう、戦で彼以外の王族は皆殺しにされ、
エジプト側は、国外にいたシャヌーンの存在を知らなかったとしたら。
国を憂い、復讐を誓うシャヌーン像が出来上がっても良いと思います。
だからこそ、最初から死ぬつもりで、使者にたてるのではないのでしょうか。
王族としての誇りを賭けて、ファラオに討えかけようとした、シャヌーン。
ファラオの誇りに訴えかけたかったのでしょうが、
奇しくもそれは、元々奴隷として生きてきたセティに、ファラオとは、
何かを指し示すきっかけになります。
彼は何故自らの命を絶つのか。
そうするしかなかったのです。
たぶんファラオを見事討ち取っても、同じだったでしょう。
生きて捕らえられる、それは、考えに入っていたとは思えません。
最初から覚悟は出来ていたのですから。
以上のことを、念頭に置いて。次へ進みたいと思います。
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